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夜中や朝方に足がつるのはなぜ?こむら返りの原因・メカニズム・予防法を整形外科医がわかりやすく解説

2026.05.03

「夜中にふくらはぎが急につって、痛くて目が覚めた」「朝起きようとした瞬間に足がつってしまった」――こういったご相談は、整形外科の外来でも非常に多くいただきます。突然の強い痛みに驚いてしまうこともあると思いますが、正しい知識があれば、慌てずに対処できるようになります。
この記事では、こむら返りのメカニズム、夜間・朝方に多い理由、似た症状との違い、発作時の対処法、そして日常でできる予防策について、医学的に正確な情報をわかりやすくお伝えします。

こむら返りとはどんな症状ですか?

こむら返りとは、主にふくらはぎ(腓腹筋・ヒラメ筋)や足の指の筋肉が、突然強く縮んで戻りにくくなる状態のことです。医学的には「有痛性筋痙攣(ゆうつうせいきんけいれん)」とも呼ばれます。
数秒から数分間続くことが多く、長い場合には10分程度に及ぶこともあります。触ると筋肉が硬く盛り上がっており、痙攣が治まった後もしばらく筋肉の張りや痛みが残るのが特徴です。睡眠中に起こると、翌朝の疲労感にもつながります。

こむら返りはどうして起こるのでしょうか?

最新の研究(筋電図研究など)によると、こむら返りの本質は筋肉そのものの問題というより、筋肉を動かす運動神経が過剰に興奮し、大量の収縮命令を一気に出してしまうことにあります。
筋肉には本来、伸ばされると収縮する「筋紡錘」と、張力が強くなりすぎると逆にブレーキをかける「ゴルジ腱器官」という仕組みがあります。筋疲労、神経障害、姿勢などの影響でこのバランスが崩れると、運動神経の興奮が高まり、筋肉が自動的に強く縮んでこむら返りが起こります。
つまり、こむら返りは「筋肉と神経の連携の乱れ」によって起こる現象と理解するのが、現在では最も正確です。
脱水や電解質(マグネシウム・カリウム・カルシウムなど)の異常が引き金になることもありますが、それだけが主な原因ではなく、複数の要素が重なって起こることが多いと考えられています。

なぜ夜間や朝方に多いのですか?

夜間や朝方にこむら返りが起こりやすいのには、いくつかの理由があります。
・睡眠中の足首の向きが影響しています
寝ているあいだ、足首は自然と「つま先が下がった向き(底屈位)」になりやすいです。この姿勢では、ふくらはぎの筋肉が縮んだ状態のまま長時間維持されます。縮んだ状態の筋肉は、わずかな刺激でも過剰に反応しやすく、痙攣が起こりやすくなります。

・日中の筋疲労が夜になって出てきます
長時間の立ち仕事、歩行、運動などで筋肉が疲労すると、夜になって神経の興奮が高まりやすくなります。

・加齢・運動不足による筋肉の硬さも関係します
高齢になると筋肉量や柔軟性が低下し、日中に足首を大きく動かす機会も減ります。その結果、夜間の短縮位で痙攣が起こりやすくなります。統計的には、高齢者の約4割にのぼる方が夜間こむら返りを経験するとも報告されています。

・腰や神経の問題が隠れていることもあります
腰部脊柱管狭窄症や腰椎の神経根障害、糖尿病による末梢神経障害などがある場合です。これらの疾患では末梢神経の興奮性が高まり、こむら返りが起こりやすくなります。

こむら返りを起こしやすい背景・原因には何がありますか?

こむら返りの背景としてよく知られているものを整理します。
生活習慣・身体的な要因としては、加齢、筋疲労、長時間の立位や歩行、脱水、運動不足、筋肉・腱の硬さ、妊娠などがあります。
疾患による要因としては、腰部脊柱管狭窄症(腰の神経の圧迫)、糖尿病性末梢神経障害、末梢動脈疾患(血流障害)、腎機能障害・透析、肝硬変、甲状腺疾患、電解質異常などが挙げられます。
薬剤が原因になることもあります。利尿薬(水を排出する薬)、一部の脂質異常症治療薬(スタチン)、長時間作用型の気管支拡張薬などで、こむら返りが起こりやすくなる可能性が報告されています。自己判断で薬を中止せず、気になる場合は処方医に相談してください。

こむら返りが起きたときの対処法

発作が起きたときは、まず落ち着いて、縮んでいる筋肉をゆっくり伸ばすことが基本です。
ふくらはぎがつった場合は、膝を伸ばした状態でつま先をすねのほう(顔の方向)へゆっくり引き寄せます。寝たままでもできます。立てる場合は、壁に手をついてアキレス腱を伸ばす姿勢(いわゆるアキレス腱ストレッチの姿勢)をとると改善しやすくなります。
足の指がつった場合は、足の指と足首を反らせる(上に向ける)方向にゆっくり伸ばします。
痙攣が治まったら、軽くマッサージをしたり、少し歩いたりすることも助けになります。温めることも有効なことが多いです。

日常でできる予防法

・就寝前のふくらはぎストレッチ
最もおすすめできる予防法です。就寝前にふくらはぎや太ももの裏をゆっくり伸ばす習慣をつけましょう。ある研究では、55歳以上の方が寝る前にストレッチを6週間続けることで、夜間こむら返りの頻度と痛みが減少したと報告されています。研究全体での効果は一貫していないものの、安全で費用もかからず続けやすいため、まず試していただく価値の高い方法です。
具体的な方法です。壁に両手をつき、片脚を後ろに引きます。後ろ脚の膝をまっすぐに伸ばし、踵を床から離さないようにしてふくらはぎを20〜30秒間伸ばします。左右それぞれ2〜3回おこないます。少し膝を曲げると、ふくらはぎの深い部分(ヒラメ筋)もよく伸びます。

・寝るときの姿勢と寝具を見直す
重い布団が足先を押して、足首が下向きに固まってしまうことがあります。布団のかけ方を工夫したり、寝る前に足首を軽く回したりするだけで、筋肉が縮みにくくなることがあります。

・日中の適度な運動と水分摂取
急に激しい運動をするのではなく、歩行やカーフレイズ(つま先立ち)など、無理のない範囲で下腿の筋肉を動かす習慣をつけましょう。水分摂取も大切ですが、心臓や腎臓の機能が低下している方は飲水量に制限がある場合がありますので、主治医にご確認ください。

サプリメントや薬について

マグネシウムはこむら返りによく使われるサプリメントですが、医学的なエビデンス(根拠)としては「一般的な高齢者の夜間こむら返り全般に確実に効く」とまでは言えません。マグネシウムが不足している方には意味がある場合もありますが、腎機能が低下している方ではマグネシウムが体に蓄積するリスクもあるため、自己判断での長期摂取には注意が必要です。
芍薬甘草湯(しゃくやくかんぞうとう)は日本の外来でもよく使用される漢方薬で、筋痙攣への有効性を示す報告があります。ただし、甘草(かんぞう)の成分の影響で、むくみ・血圧上昇・血液中のカリウム低下(偽アルドステロン症)といった副作用が起こる可能性があります。特に高齢の方、腎機能が低下している方、心不全のある方、利尿薬を飲んでいる方などは注意が必要です。毎日漫然と長期服用するより、症状の強いときに限って服用するなど、医師の指示のもとで使用することをお勧めします。

まとめ

夜間や朝方のこむら返りは、睡眠中の足首の位置、筋疲労、運動神経の過剰な興奮が重なって起こることが多い症状です。「水不足やミネラル不足だけが原因」という理解は現在では不十分で、神経と筋肉の連携の乱れ、加齢、腰椎疾患、薬剤など複数の要因が関係します。まずは就寝前のふくらはぎストレッチ、睡眠中の足首の姿勢への意識、日中の適度な運動と水分管理から始めてみてください。症状が繰り返す場合や、しびれ・歩行困難・筋力低下を伴う場合は、腰や神経・血流・全身疾患が隠れていないか、医療機関で確認することをお勧めします。
当院では、こむら返りの背景にある腰椎疾患、神経症状、リハビリ指導についても対応しています。お気軽にご相談ください。

文責 谷口整形外科リハビリクリニック 院長 谷口真史

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