お電話が混み合う場合がございます。
お電話を頂く前に下記の
よくあるご質問をご確認ください。

業者の方はこちら

よくあるご質問はこちら

上記で解決できない場合は
お電話くださいませ

048-649-0789

  • HOME
  • ブログ
  • 朝起きたときの「動き出しの痛み」はなぜ起こる?原因と対処法を整形外科医が解説

朝起きたときの「動き出しの痛み」はなぜ起こる?原因と対処法を整形外科医が解説

2026.04.25

はじめに――「朝の一歩目が痛い」は珍しくありません

朝、ベッドから起き上がった瞬間に腰や膝がズキッとする。 階段を降りようとした最初の一歩が、じわっと痛む。 しばらく動いていると楽になるのに、ひと晩寝た後はまたつらくなる――。

こうした「動き出しの痛み(スタートアップペイン)」や「朝のこわばり」は、整形外科の外来でも非常によくご相談をいただく症状です。「年のせいかな」「冷えているせいかな」と放っておく方も多いのですが、実は痛みのしくみは病態によって異なり、適切なケアや治療につなげることで改善が期待できる場合があります。

この記事では、朝の動き出し痛がなぜ起こるのかをわかりやすく解説し、どんな病気が関係しているのか、そして日常生活でできる対策もご紹介します。

朝の痛みはなぜ起こるのか?――3つのしくみ

整形外科・リウマチ学の最新の知見では、主に次の3つのしくみが重なって朝の痛みやこわばりが生じると考えられています。

① 長時間動かさなかった後の「組織のこわばり」

関節のまわりには、軟骨・関節包(かんせつほう)・腱・筋膜・滑膜(かつまく)など、さまざまな組織があります。これらの組織は適度に動かすことで柔軟性と滑らかさが保たれていますが、何時間も同じ姿勢で寝ていると、以下のような変化が起こります。

  • 関節液(かんせつえき)の循環が低下し、関節の潤滑がいったん落ちる
  • 腱・筋膜・関節包のゴムのような弾力性(粘弾性)が一時的に低下し、組織が「固く・伸びにくい」状態になる
  • 関節面の滑らかな滑走性が下がる

そのため、朝の最初の荷重や動作で、いつもより大きなストレスが組織にかかり、痛みが出やすくなります。数歩・数分動くうちに関節液が再び行き渡り、組織がほぐれると痛みが和らぐのはこのためです。

② 夜間から早朝にかけての「炎症の高まり」

関節リウマチのような炎症性の病気では、体内の炎症を促す物質(炎症性サイトカイン:IL-6・TNF-αなど)が夜間から早朝にかけて上昇しやすいことが知られています。一方で、炎症を抑えるホルモンであるコルチゾール(副腎から分泌される天然のステロイド)は早朝に向けて量が追いつかないことがあるため、起床時に痛みやこわばりが特に強く出る傾向があります。

これは「夜のあいだに炎症そのものが高まりやすい」という体内リズム(概日リズム)の問題です。

③ 最初の動きで「痛みのセンサーが刺激される」

関節や腱のまわりには、痛みを感知する神経(侵害受容器)があります。炎症や加齢変化によってこれらのセンサーが過敏になっている状態では、朝の最初の荷重や伸張がトリガーとなり、痛みが生じます。特に朝は痛みに対する中枢神経系の感受性も高めになりやすい時間帯です。

「こわばりの長さ」が病気のヒントになります

朝のこわばりや動き出し痛がどれくらい続くかは、病気の種類を見極めるうえで重要な手がかりになります。

30分以内で楽になるなら→変性・機械的な原因を疑う

変形性関節症(膝・股関節・指など)では、朝のこわばりは通常30分以内で、動き始めるとすぐに和らぐのが特徴です。長年の負荷や加齢によって軟骨がすり減り、関節のまわりの組織が変性した状態です。

痛みは主に、軟骨そのものではなく(軟骨には神経がありません)、滑膜・関節包・靱帯・軟骨下骨(なんこつかこつ)など神経のある周囲組織から生じます。

「しばらく同じ姿勢でいた後に動き始めると固まった感じがする」という感覚は、英語では articular gelling(関節のゲル化現象)とも呼ばれ、変形性関節症の典型的なパターンとして知られています。

30分以上続くなら→炎症性の病気を疑う

関節リウマチや強直性脊椎炎(きょうちょくせいせきついえん)などの炎症性関節炎では、朝のこわばりが30分以上、しばしば1時間を超えて続くことがあります。関節の腫れ、左右対称性の小関節の痛み(指の第2・第3関節など)が目立つ場合は要注意です。

「年のせい」と放置せず、早めに整形外科・リウマチ科を受診されることをお勧めします。早期に適切な治療を始めることが、関節の変形を防ぐうえで重要です。

足の裏の「一歩目の痛み」は足底腱膜症かもしれません

朝、ベッドから床に足をついた瞬間に、かかとや足の裏が激しく痛む――これは足底腱膜症(そくていけんまくしょう)の非常に典型的な症状です。しばらく歩いていると痛みが和らぐのが特徴です。

足の裏には足底腱膜という厚い膜状の組織があり、長時間の歩行・立ち仕事・加齢変化などで変性が起こることがあります。夜間の安静中にこの組織が縮んだ状態になり、朝の最初の一歩で急に張力がかかることで痛みが生じます。インソールやストレッチで改善が期待できる場合もありますので、ご相談ください。

朝の動き出し痛が気になるとき――日常生活でできること

以下の対策は一般的なセルフケアとしてご参考にしていただけますが、症状が強い場合や長く続く場合は、必ず医療機関を受診してください。

起き上がる前に関節を少し動かす

ベッドの中で、膝の曲げ伸ばしや足首の回転など軽い動きを行うことで、関節液を関節内に行き渡らせやすくなります。

急な動き出しを避ける

起き上がった直後にいきなり全体重をかけるより、ゆっくりと体を起こし、立ち上がる前に少し足踏みするなどの工夫が有効です。

適度な温め

血行を促し組織の柔軟性を一時的に高める効果が期待できます。ただし急性の腫れや熱感が強いときは冷やすほうがよい場合もありますので、ご不明の際はご相談ください。

体重管理と適度な運動

特に膝・股関節の変形性関節症では、体重の管理が関節への負荷を軽減します。ウォーキングや水中歩行など関節に過度な負担をかけない有酸素運動は、関節周囲筋の強化や関節液の循環改善に役立ちます。

まとめ

朝の動き出し痛・こわばりは、

  1. 長時間の不動による関節・腱・筋膜のこわばりと滑走性の低下
  2. 夜間から早朝にかけての炎症の高まり(特に炎症性疾患で顕著)
  3. 感作された痛みのセンサーへの最初の刺激

という複数の要因が重なって起こります。

こわばりが30分以内か、それ以上かが病態を考えるうえでの一つの目安になりますが、症状が続く場合は自己判断せず、整形外科で診察を受けることが大切です。

当院では、整形外科的な診察・画像検査(レントゲン・超音波など)に加え、リハビリテーション専門スタッフによる運動療法・生活指導も行っております。朝の痛みでお悩みの方はご相談ください。

文責:谷口整形外科リハビリクリニック 院長 谷口真史

予約